『Pieces』

 わたしは、他人の失禁に非常に強い魅力を感じている。
 なぜ、と聞かれても自分でも分からないのだが、物心ついた時から、おしっこ、おねしょ、おもらし、そういった類の言葉、出来事にたいへん敏感であり、それらについて考えることは、おさな心にも、甘く密やかなときめきであった。
 今、ずいぶんと月日が流れて、わたしはすっかり年を取った。
 だが、それでも、失禁に対し得も言われぬ魅力を感じていることに変わりはない。それどころか、齢を重ね、様々な出会い、出来事に触れるたび、日々、新鮮な気持ちを、新たな驚きを、胸に抱いている。
 この胸に、決して忘れられぬ、何人かの女性がいる。
 直接会い、話を交わすことのできた人もいるし、面影すら知らず、空想の中にだけその笑顔を見いだした人もいる。
 わたしの、他愛のない思い出ばなしに付き合ってもらえるかい?
 みな、かけがえのない宝物ばかりなんだ。



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